反・きり

あの日から
生き延びるのを拒まれた細胞に囲まれ
なおも生きる希望を持ち続けた
母に捧ぐーーーーー
 
物質とエネルギーが
永遠に相互変換可能なのは
それらが有限だからである。
人類は元素の周期律の原理の発見から
有限な92種の元素とその組み合わせにのみによって
宇宙に生存できるということを学んだのだ。
人類はこの1世紀間で
概念の無限性よりも
掛け替えられる物理的な永遠性を
理解できるようになったのである。
超ウラニウム(例えばプルトニウム239)を、
さらには超超ウラニウムを
自ら被曝しながら巨大加速器や原子炉で追いかけるための
建造費が巨大なことを自慢にする科学者たちは
「きりがない素粒子や元素の存在」を前提にした
無限宇宙観の信奉者にすぎない。
(2011年、原子番号114番目の元素が間もなく周期表に追加される)
そして
この超専門分化した科学者たちの
競争意識に燃えた偏向した思考が
原子力による無限エネルギーへの信仰を
生んでいるのである。
          2011年8月6日  梶川泰司