裏返し操作 (turning inside-out)

太陽は太陽系の質量の99.87%を占有している。
そして、太陽系の元素存在度は太陽の元素存在度と
実質的には同一である事実が最初に観測されたのは、
1959年に打ち上げられたソ連の月探査機ルナ1号の無人探査機による
太陽系内の探査よりも21年も早い1938年である。
太陽系の元素存在度の発見は、驚くことに、
地上から収集可能な太陽大気のスペクトル分光分析データと
隕石の化学分析データの推論から導かれたのである。
それらはバイオスフィアの外部(=大気圏外)からよりも
内部から観察可能であった。
しかし、われわれの内部の組成もまた宇宙という<外部の裏返し>であるという
もう一つの事実はもっとも遅れて認識された。
<自分を外から見る>という行為なくしては
認識できなかったからである。
観察者を観察の対象から除外しない方法は
習慣的に科学から除外されてきた。
<自分を外から見る>というシナジェティクスの<裏返し操作>は
科学的認識の一般化には不可欠である。