続2)反社会的電力

宇宙における電気エネルギーの在り方自体を
変革できるのは国家や企業ではなく科学者や個人である。
その理由は

電力会社が原子核における電子と陽子の相互作用や
電気伝導性のある金属の自由電子が形成する電流を発明したわけではない。

電子が発見された時、そして電流が発見された時には
まだ電力会社は存在しなかった。

歴史的に財政的に
送電ネットワークと電気エネルギーの生産手段の開発には
企業独自の開発投資金ではなく、ほとんど税金で作られてきた。

さらに、
国家は送電線ネットワークの構築のために
導電率の優れた銅を国内で安定供給できるように
銅の採掘技術とその精錬技術の同時開発を優先しなければならなかった。

それらが研究開発され実用化されたすべての基本発電システムは
国家から企業に譲渡されたのである。
より高額な研究開発費を要する第2次世界戦争以後の
原発システムも例外ではなかった。

送電線ネットワークへの電気メータの取り付けは
イデオロギーの違いによって決定されてきたわけではない。
たとえばロシアではすべての個人が利用するエネルギーに
料金メータが今まで存在しなかったのは、
メータの生産コストと定期検針にかかるコストが
エネルギー生産コストをつねに増大させるからである。
共産圏では
すべての個人が生存のために自由に使えるエネルギーがすでに豊富に存在する以上、
電気メータ類による個別のユーザ毎の消費量の管理はまったく非経済的であった。

電気エネルギーの在り方を変革するもっとも効果的な行為は
社会によって意図的に刷り込まれた諸概念を破壊する<考える行為>である。
思考こそ個人が自在に利用できる最大の原初的なテクノロジーである。
いまやわれわれの思考力は
社会システムよるエネルギーという富の独占的な<流れ>から
生存のためのすべての物理的エネルギーをすべての人々のために
もっとも経済的に高効率に変換し
新たな民主的なエネルギー分配方法による<流れ>を
形成する段階に到達しているのである。
つまり
宇宙における電気エネルギーの在り方自体を
変革できる思考力を政治家に委任してはいけない。