月別アーカイブ: 2014年4月

相補性

世間では、ポジティブとネガティブは
互いに反転可能な鏡像関係にある。
正義とモラルは
悪と懲罰にそれぞれ置換できる。
そして、明晰は、愚鈍と非論理性に
裕福は、貧困と不足に
愛情は、暴力と無関心に
知識は、無知と競争に。
自然は、ポジティブとネガティブを
互いにネガティブな関係で構築しない。
ネガティブな存在は
けっしてポジティブな存在の反転からは生成されない。
電子が陽子から生成されないように
自然は非鏡像的な存在を共存させている。
同時的または非同時的に。

余剰生産力

知的産業社会では
エネルギーコストが同じなら
労賃が安いほど競合できるとは限らない。
革命的な発明によって
これまで主流となった製品の機能を陳腐化すれば、
その製品や工場は瞬く間に不要になる。
真の発明力は
電気エネルギーコストの削減や
資源の独占だけでは調達できない。
発明のための教育は
余剰生産力から生まれるメタフィジックスであるが
現在の教育プログラムにはほとんど含まれていない。
現在の教育プログラムは
通勤する大量の工場労働者を教育するために
作成された1世紀前の原型を継承している。
教育コストのほとんどは
時代遅れの学力向上に費やされているにすぎない。

単純さについて

自然の原理は単純である。
科学論文の審査機構のほうが自然よりも複雑である。
「Nature」に記載されたレベルのノウハウは
最初に発見された単純な概念レベルで十分である。
STAP細胞の再現性には
かなりの理論とノウハウがあってしかるべきである。
軍事技術を見る限り、もっとも効果的な発明が
特許出願がなくとも開発されてきたように
テクノロジーは科学論文の受理とは無関係に開発できる。
「Nature」に記載される名誉よりも
論文も審査に出さないだけでなく
特許出願しないそのノウハウの方が情況によっては
高価であるというビジネスは存在する。
それは単純な資本主義だ。

ところで、論文の審査機構において、審査される論文の機密性を一体誰が
民主的に監視できるのだろうか。
科学論文の審査機構がほぼ権力構造に属しているならば。

科学論文

専門分化しながらも
集団化した科学者のクライアントは
限りなく真実に見せかけた
科学論文の<構造>に夢中である。
論文形式と審査機構との相互作用は
民主主義的ではない。
STAP細胞の発見が
科学に無知なメディアと法律家資本主義に毒されたのは
科学論文の<構造>と科学者が構成する社会<構造>に
自由な人間どうしの対話が不在だからだろう。
科学者に自由な対話と批判をもたらす<構造>がなければ
動く<細胞>の構造も見えないだろう。
現在のテクノロジーとその余剰生産性からいえば
優れた科学者が国家公務員である必要はない。
この国には、10億円以上の現金を所有する個人が
150万人以上もいる。
細胞生物学もシナジェティクスのように
メタフィジックスに接近する科学なら
個人で展開可能な時代だ。

母川回帰

2012年の世界貿易額で見ると
輸出額はアメリカではなく中国が第1位であり
輸入額では中国は第2位である。
しかし、中国の黒字と米国の赤字が共に減少しているのは
安価なエネルギー源を求めて、
多くの工場はサケの源流への遡上のように
技術が生まれた場所に回帰しはじめたからだ。
シェールガス革命は原発を陳腐化し
製造コストを中国よりも安価にできるのだ。
(日本は4位であり、輸入額のほうが輸出額よりも多い情況が続いている。
先進諸国で輸出額が輸入額よりも多いのはドイツだけである。)
日本はロシアやアメリカから余剰な天然ガスを輸入するかぎり
製造コストの革命は自国では望めない。

美的存在

彫刻家によって
テンセグリティ原理が応用されるとき
構造の軽量化よりも
美的存在とその永続性を優先した
素材が選択される。
ステンレスパイプやワイヤーロープなどの
腐食しない重い金属が必要とされる。
さらに決定的に
皮膜材を張力材に採用しない暗黙の了解がある。
つまり、美的なオブジェとしてすべての細部がデザインされ
テンセグリティは空間構造としてはけっして考察されない。
素材の構成から<構造>を除外した概念が解析できるのは
流行する様式のように
衰退していく思考方法の特徴であるが
それゆえに伝染しやすい。

トリムタブ再考

高速戦闘機では、翼の中でも
補助翼(補助翼、昇降舵、方向舵)の3種の舵の
軽量化と表面剛性が優先的に必要である。
零戦の設計では構造重量を軽くするために
翼の一部を羽布張り構造(=飛行機の翼に用いる布)の
表面にしていたようだ。
(8歳の時に、零戦の木製の精密モデルを作成した時に
この軽量化のエンジニアリングにかなり興味があった。)
しかし、高速飛行時には空気という高速の流体で
その羽布の表面が内側に凹んで平滑な曲面が失われ
補助翼はやがてトラス構造から羽布張り部分が
膨らんで破裂する危険性があった。
フレキシブルな表面材による構造のこのような欠点は
トラス構造のテンセグリティ化によって応力外板構造に変換し
軽量化も飛躍的に向上させた上で機体剛性も向上できる。
同じようにテンセグリティシェルターでは
ハリケーンや台風などの激しく変化する高速の風圧に対して
表面が内側に陥没(ディンプル)しないように
シェルターを空力学的に解決し
同時に機体剛性と強度を飛躍的に向上できる。
最大のテンセグリティシェルターのデザイン上の問題は
皮膜材と構造の同時的・非同時的な
人力での短時間によるアセンブル方法とその全コストである。
テンセグリティシェルターは
飛行機と同様に、大気圏を移動するための
効果的な地上用のトリムタブだからである。

モバイルシェルター vs スモールハウス

<スモールハウス>は
単位体積あたりの重量が
ほとんど軽減されていないならば
省エネとは言えない。
エネルギーと食糧と住居の三代要素を
まだ解決できていない。
それぞれの要素を縮小しただけである。
あるいは
都市と家族の矛盾から分離したにすぎない。
増殖しながら移動する人類に不可欠な
全天候性の自律的なモバイルシェルターを
開発する理由が忘れ去られる<平時>が終わった時にこそ
最初のモバイルシェルターは生産される。
バイオスフィアの陸地の80%は、依然未使用である。
驚くことにその大半は北半球にある。

抑圧空間

建築の空間構造とそのデザインが
どれほど人間の精神に影響を与えているかという心理学的研究は
贈与経済学が経済学から駆逐されたように
あまりにも現実的すぎて禁止されているように見える。
病院や老人ホーム、学校やオフィス
そして、仮設住宅の建築空間でさえ
人間を昼夜を問わず手っ取り早く抑圧できるからだ。
意図的に陳腐にした空間デザインだけでなく
モダンに見せかけた空間でさえ
人間の思考を効果的にコントロールできる。
そもそも、上下水道と電力ネットワークに
常時繋げるだけでも十分なはずだ。

数学と軽量化

軽量化とは
他の部品や部材
そして、環境や概念との関係においてのみ
存在しうる概念である。
事物の総相互関係(=三角形化)が完遂したネットワークとして。
建築の空間構造が、記号の法律言語(コード)に依存しているかぎり
人間が大気圏内で安全に健康に生活できる最軽量の空間構造は
もはや建築の領域ではない。
空間の超・軽量化は
航空機の翼やロケットの胴体の構造のエンジニアリング以上に
非物質化(エフェメラリゼーション)の前駆体なのである。
構造とパターンは
もっとも純粋なシナジェティクス数学に接近する。
漸近的な極限では
数学による軽量化だけではなく
数学の軽量化さえも生成されるのである。