物質の遅延

テンセグリティだから軽くて強いわけではない。
むしろ、軽く強くしたいからテンセグリティになったのだ。
美しいテンセグリティは、最後にやってきたのであるが
美しい形態だけを複製しても生存には無関係である。
軌道エレベータ(Space elevator;重力エレベーター)は、
それを生産するために必要な強度を持つ素材が発見される前から
概念的に考案されている。
エレベーターのケーブルは地球に接近するほど
重力が増加して遠心力が弱まると同時に
より大気圏外に行くほど重力が減少し遠心力が強まる。
緯度が上がるほどケーブルにかかる張力が大きくなるが、
連続したケーブルのどの点でも張力が非同時的にかかるので
結果的に全体の遠心力が重力を上回るようにデザインできる。
したがって、基本的にはカーボンナノチューブによって統合された
最軽量のテンセグリティ構造であるが
まだ重力エレベーター用のナノチーブはまだ生産できていない。
電導性のないナノチューブが大気圏内外の紫外線に弱いだけではない。
連続したより長いナノチューブが完成していないのは
技術の問題ではなく、再び構造とパターンのメタフィジックスの問題である。
物質はつねに遅れてやってくる。