対比的存在へ

張力材は、まだ圧縮されない圧縮材を攻囲し、
圧縮力は、張力を介して、またそれらを通して形成される。
張力も圧縮力を拠り所にして形成される。
この相互作用が、<部分からは推測できない全体システム>を形成する。
このような相互作用は
まだわれわれの社会構造には存在しないのではなく
権力は、権力を持たない側を包囲し、抑圧し、
その抑圧力を拠り所にし、
その抑圧力が統治力を生むシステムとして
歴然と構築されてきたのである。
それらの違いは
圧縮材と張力材は、互いに非鏡像的な相補性を
形成する純粋な対比的存在であるが
権力とそれを持たざる者との対比は
大多数の人間のなかに曖昧に共存している現象にある。
たとえば、
大多数が互いに無関心な状態が、圧倒的な支配力に変換され、
抑圧的被曝を自ら絆と言い換えるように。