月別アーカイブ: 2016年5月

<構造>という言葉の背後

この複雑に破壊されていく構造を、単純に分析することは困難であるが
それなしでは人間も権力構造も生きることができない。

<構造>そのものではなく
<構造>という言葉の背後に隠れているものを
一つ残らず解放しなくてはならない。

その場合、政治や経済だけではなく、
構造とパターンに関する科学、すなわち数学が関与するはずである。

岩石のように

自然のエネルギーが、未曾有で未知であり
そして自在である現象に対して
岩石のように、固定的に固体的に
人間の住居を構造をデザインすることは
もはや非科学的である。

すべての岩石は、移動した結果である。

不動と見立てた岩石や大黒柱から
科学的な安全率と安全性は形成できない。

専門分化したエンドユーザ

ほとんどの建築家は
建築コードと構造解析プログラムの
単なるエンドユーザである。

彼らはそれらを変化させることはない範囲の
安全率(safety factor)で建築ビジネスを運用する。

もし、そうでないなかったなら
この現在の仮設住宅に関する前世紀の法律を
前世紀までにすっかり陳腐化できていただろう。

ジャンボジェットの翼は
ナイアガラの滝の上から
機体を自由落下させてもその翼は機体から
もぎ取られないように構造全体が設計されている。

さもなければ、上空一万メートルで発生する
エアータービランス(乱気流)の中を安全に飛行できないのだ。
エアータービランスの衝撃はマグニチュード8をはるかに超える。

安全率を意図的に高くできることは
危険性を予測する不確実性が高い事実を隠蔽できると共に、
自分たちの責任回避の手段に利用することができる。

安全率の高さは必ずしも安全性の高さではないことは
大災害ですでに証明されてきた。

すべての構造に関する専門家は、
法律上の安全率が提供するマージン (margin) に依存した
エンドユーザであってはならない。

エネルギーが通過した断層面

一度断層となった境界面は
強度が低下するため繰り返し地震を引き起こす。

別の地下に存在する震源断層のほとんどは
地表から観察できない。

断層は、明らかに自然のエネルギーが通過した
臨界面的な軌跡である。

しかし、エネルギーが通過した断層面だけが
地震の軌跡ではない。

自然のエネルギーは
バイオスフィア内部の3次元空間を
臨界面的な軌跡を生成する以上に
自在に移動している。

机上の耐震基準では生存できない理由

1.
すべての構造は
最終的にその構造毎に破壊実験をしなければ
耐震基準を満たしているかどうかは不明である。

2.
さらに、耐震基準は
同一の構造でも設計者の方針によって異なる数値となるので
構造解析プログラムを用いてほとんど簡易に算定されている。

3.
基本設計を担う建築家は
この構造解析プログラムにはまったく不慣れである。
彼らは専門性によって構造解析を分業する。

4.
しかし、設計者自らが構造解析プログラムと連動してデザインする自動車や飛行機は
量産される前に破壊実験をしている。
その設計方法の根拠は破壊実験を通してのみ
構造解析プログラムが修正される関係にあるからである。
(量産されるプレハブ構造以外では経済的に破壊実験を実施するのは不可能である。)

5.
耐震基準と実際の構造物は
つねに机上の理論(desk theory)で仮想的に関係してるだけである。

6.
土地資本主義から引き継がれた
グランチの時代遅れの方法論で建築ビジネスが維持される時
建造物の崩壊で死ぬ可能性は机上の耐震基準ではけっして軽減されない。

7.
真の構造は仮想的な関係を
完全に排除する科学から生まれるのではなく
その科学的方法によって発見されるだけである。

以上の理由から
人類は、机上の耐震基準ではバイオスフィア内には生存できない。

デザインサイエンスの目的論

テクノロジーの社会的役割は
記号的現象の上にその現象に抗して
新たな記号を打ち立てると共に
その記号に新たな現象の生成と目的を与えることにあるだろう。

テクノロジーは
個人による自由な発明という形式のもとで
新たな記号と目的論を相互に相殺する機能を持っている。

アインシュタインによる冷蔵庫の初期の発明には
力学的、熱、化学、電気、光などのエネルギーは
それぞれの形態に移り変わるがエネルギーの総和は変化しない
というエネルギー保存の法則による
具体的な操作主義が介在していたように。

そして、第一次世界大戦において
その兵器ではない発明が
外洋上の兵站戦の最重要な軍事的テクノロジーを形成したように。

21世紀のデザインサイエンスによる
テクノロジーと目的論は
モバイルシェルターの発明なくして
ほとんど機能しないだろう。

解読の原理

モデル言語は、それ自身のうちに、
自らの解読の原理を書き込んだ言語となった。

実際、テンセグリティは自らが帰属している構造とパターンで
制御されているにも関わらず
これまでのモデル言語のシンタックスとセマンティックとを
劇的に変えてしまう新たなモデル言語を
前提するようになったのだ。

発見された解読の原理を包含するモデル言語によって
これまで知られていたテンセグリティの構造デザインを
全面的に変更し、もっとも経済的に物質化してしまったのである。

21世紀のモバイルテンセグリティシェルターは
この言語で記述されていくだろう。

短命な大黒柱

それは、より重要な部分に対する科学的言説の破壊、
社会の内部で組織される科学的言説の制度と機能によって
中心化する構造作用に対する反乱、
唯一無二の大黒柱の作用に対する反例である。

テンセグリティにおいて起こっているのは
まさに構造の無化であり
構造の定義の革命なのだ。

テンセグリティ構造が発見されるまで
人類のすべての社会において
真の構造の概念は存在していなかった。

構造を無化するのは、真の構造によってである。

崩れ落ちた大黒柱は復興において
最初に修復されるが
自然の構造によって再び無化されるかぎり
短命で高価すぎる人工物である。