月別アーカイブ: 2018年9月

Think globally, act locally.の起源

Think globally, act locally.
この命令形によって人間は支配されてきた。
バックミンスター・フラーがこのエコロジー的格言を考案したとする
科学者、エコロジスト、批評家、翻訳者などは
ローマクラブが企てたとおりの受け売りである。
自然は同時的かつ非同時的に、つねに包括的に
宇宙的に相互作用している。

この現実を転写し、転移し翻訳するモデル言語の生成プロセスはシナジェティクスにある。

経済なき農業の同時性

田植えと稲刈りを5月と9月に集中させるためにそれらの月には休日が連なる。
平野部よりも耕作地の多い中山間地での本来の田植えは6月で稲刈りは10月である。
品種改良と肥料と農薬と高額機材によって地域の温度差を超えて
日本列島の兼業農家の同時性だけが維持されている。

Doing more with Lessing

出来事の再現は動詞を伴う。動詞は時間に関する言葉である。
バックミンスターフラーはDo more with Lessと表現しなかった。
それはコピーライターによる命令形の格言で終わる。
宇宙の原理を変換する重さのないシステムを発見する毎に
シナジェティクスは自然の働きを
Doing more with Lessingと捉えてきた。
主客は反転している。

すべて既製品を使うシェルター開発

非常時の生存のための最優先課題にテンセグリティ・シェルターがある。
問題解決にほとんどすべての既製品を使うことは最重要な用途開発に違いない。
仮設住宅の供給までの時間とエネルギーとコストを劇的に省略できるばかりか
これまでの非常時の生存方法を陳腐化できる。

技術の用途開発(ユーティリティ)

非常時には既存のインフラに依存した機能は瞬時に分断される。
都市部では電気の供給が停止するだけで
キッチン、トイレ、冷蔵庫、冷暖房機などは機能は停止する。
気候変動期に生存するための
e・食・住のより包括的な自律性の確保には
新たな道具以上に技術の用途開発が必須である。

長期化する気候変動期には

平時には間違った理由で正しいことが為される。
たとえば「無名、貧乏、無謀さ」が創造性の条件になる。
緊急時には正しい理由で間違ったことが為される。
たとえばコンビニが災害救助の拠点化する独占条件を備えたこと。
ついに長期化する気候変動期には
正しい理由で正しいことが為されるのだろうか。

太陽光だけの甘栗

栗の実を秋風と太陽光で乾燥させれば糖分が増加する。
殻付きで長期に保存もできる。
殻と渋皮との隙間ができるので栗むき器は不要だ。
食べる直前に簡単に殻と渋皮が果実から分離できる。
この堅い果実は種子ではない。
ブナ科植物の果実の外皮表面を洗浄するとなぜか抗菌作用は減少する。

無為自然に接近する手段

doing more with lessing=
より少ない時間とエネルギーと物質でより効果的な作用を為す概念は、
シナジェティクスによって
doing everythig with nothingにまで極限化できる。
テンセグリティシェルターは無為自然に接近する物理的な手段である。

軽量化と移動速度に比例

零下40度以下の成層圏下部の航空機による移動では
紫外線や高エネルギーの放射線から保護する方法や
一定の酸素量の確保および遮熱・遮光と断熱・採光の方法などはすべて統合され
その総合性能は軽量化の度合いと移動速度に比例するだけではなく
短時間に分解修理できる性能に比例する。

コズモグラフィー(宇宙の元型起源)

シナジェティクスは宇宙の元型起源に関する概念を
秩序化した最終段階をシナジェティクスモデルと呼ぶ。
無数のモデルに囲まれたバックミンスターフラー研究所で
フラーの最晩年の「コズモグラフィー」の全構想に直接触れたなら
誰でも直観とマインドを元型にリセットできただろう。

『コズモグラフィー』白陽社 2007
バックミンスターフラー著 梶川泰司 訳