月別アーカイブ: 2019年5月

ミュート・コミュニケーション

より多くを知る方法は
より深く理解する方法ではない。
理解は知識自体にはなく
経験と経験との隠れた関係を発見する行為から生まれる。
鳥よりも魚よりも樹木よりも
より大きなパターンが動く
岩石とのミュート・コミュニケーションに
教師はいない。

シナジーを視覚化したモデル

テンセグリティモデルは
シナジーを視覚化した有機的な非生命モデルだ。
どんな部分の働きからも推測できない
全体のシステムの働きを理解する時、
全体を変えない限り
どんな部分の働きも変わらないことが実験できる。
自分を変えても人間が変わらない場合、
自分が部分の寄せ集めだからだ。

共鳴テンセグリティモデル シナジェティクス研究所 制作 
外力分散用ジョイントによって共鳴作用がより鋭敏に短時間になる。

夢想家がけっして瞑想しない時

美食家がレシピを作らないように、
音楽愛好家が作曲をしないように、
芸術至上主義者が美を破壊しないように、
観察者が観察法を客観的に否定しないように、
神秘学者が自然の原理を発見しないように、
非現実は至るところにあるから
夢想家が瞑想しない時、
シナジェティクスは現実の泉を発見する。

SYNERGETICS RBF 1975
2面角を一定にして動くオクテットトラス

左右の鏡像対称を物理的操作に変換する方法

閉じた構造の
左勝手を右勝手に
鏡像変換する時は未だイリュージョンであるが、
物理的に
表を裏に
あるいは
内部を外部と
同時に入れ替える物理的操作と同じになる。
このオペレーションの魅力は
シナジェティクスの目的ではないが
モデリングの過程に無数に存在する。

SYNERGETICS RBF 1975
The inside-outing is four-dimensional and often complex.
The insid-outing of the rubber glove explains “annihilation” and demonstrates complex into-extroverting.

離脱するためのテンセグリティシェルター(その1)

預金(deposit)の語源は
鉱石・石油などの大地に堆積した自然の富を意味していた。
離脱(withdrawal)とは
預金に対する払い戻し/回収の意味である。
つまり、離脱とはある場所に産みだされた
富を回収する行為であるが、
経済は富を離脱させないように
システムを破綻させる企てなのである。

デザインサイエンスは
人々が自らの力で古い大地から
離脱するためのテンセグリティシェルターをデザインしてきた。

バンアレン帯は放射線帯のシェルター
1958年に米国の物理学者バン=アレンが人工衛星の観測によって発見した。

シナジーに重さは存在しない

テンセグリティモデルが自らの張力を
完全に調整するには少なくとも数日かかる。
私がデザインしたテンセグリティには
自らの張力を熟成させる自動調節機能がある。
テンセグリティモデルをバラバラにしても
その機能は部分には存在していない。
シナジーに重さは存在しない。

放散虫は最小限の素材から殻にシナジー作用をデザインする
人類の住居という殻はまだ自然のように最適化されていない

Acrospaera radiolarian, SEM

自律する自然の構造物

住居にはまだ誰も採用していないが
放散虫やウイルス、そして
われわれの細胞から隕石やナノチューブまで
テンセグリティはありふれた構造だ。
先験的デザインが豊富に存在するにもかかわらず
社会はつねに宇宙から遠ざかっている。
テンセグリティが超軽量で経済的に
自律できる自然の構造だから。

落雷と隕石の衝突からも発見されるフラーレンは
ダイヤモンドよりも硬いテンセグリティ構造。
粒子と波動の二重性がある粒子は安定している。
Fulereno C540.

思考の幾何学・シナジェティクス

バックミンスター・フラーの独創性が
シナジェティクスを体系化したのではない。
シナジェティクスが独創性を引き連れてくるのだ。
自然がシナジェティクスに
にじり寄って来る時、
シナジェティクスは家畜化されない
思考の幾何学となる。

ハイイロオオカミ 
イヌはオオカミが飼い馴らされて家畜化した

自律する空間構造の経験

子どもの時に
テンセグリティモデルを自分の手で作成して
部屋に吊り下げるまでの経験から
空間は自分で作るという考えが自発的に生まれる。
自律する構造を純粋に相補的に分離された
圧縮力と張力という相互関係から
組織化する経験は言語形成に関係する。
空間と宇宙は社会ではもっとも分断された
不均質性をもつ概念である。
 
放散虫は水中の疑似無重力空間で共鳴している。
共鳴はサバイバル機能に違いない。

つねに環境と共鳴するテンセグリティ(再考)

テンセグリティに振動していない瞬間は存在しない。
テンセグリティはつねに環境と共鳴している。
光でさえ電磁波であり物質系が
基底状態に移るとき共鳴放射する。
その振動とその音に気がつき難いのは
われわれの感覚器の限界を超えた振動数だからではなく
感覚器自体がつねに自己のざわめきで振動しているからである。

テンセグリティシェルター構造 プロトタイプデザイン・制作 2008 
シナジェティクス研究所 梶川 泰司