戦争は、憎むべき凶悪なテロの対極としてではなく、
その一部として存在する。
しかも、罪を償わせる<正義>として反転させる
基本的な記号システムなのである。
この反転システムは
例えば、天真爛漫な興味から生じる好奇心すらも
理系・文系に分離できる。
「グランチ」カテゴリーアーカイブ
軍事技術者 2
軍事技術者の予備軍を教育するには
文系と理系に分離して教育するだけで十分である。
その分離によって
例えば、数学ができる学生は絵や音楽による表現に興味がなく、
芸術を志す学生は、数学や物理学への興味がないという
知の不自然な分化を自ら批判できないようになる。
こうした専門分化が権力テクノロジーの基本的な企てであることに
その予備軍時代からすでに無関心である。
専門分化への無関心さは、
文系と理系の棲み分けのための試験制度によって
決定的にされるのであるが、
こうした教育プログラムは巨大な軍事産業と
その暗黒資金を抱えているグランチが先導している。
専門分化と専門家に対するあらゆる間違った尊敬によって
この分離は確実に深く進行する。
軍事技術者 1
産業界や大学に、「金のためにはなんでもやる」という
技術者や学者が多くなった理由はなんだろう。
「金のためにはなんでもやる」技術に従事するには
軍事に関連する技術がもっとも有利である。
軍事技術には、原発も含まれる。
それらに従事する場合、戦争によって真の科学技術が発展するという
間違った刷り込みで専門家のプライドは保たれる。
しかし、「金のためにはなんでもやる」技術が
公然と優勢になるためには
エンジニアから発明の才を引き出す
<内部の誠実(integrity)>さが
若い時にすでに衰退していなければならない。
自己のテクノロジー
妥協することなく
反権力に接近する技術(=テクノロジー)があれば
クラッカーか、テロリストになれる。
妥協することなく
ノウハウに精通する技術があれば
ハッカーになれる。
妥協することなく
技術を発見する技術があれば
発明家になれる。
あらゆる権威を否定して
妥協することなく
自らの動機に接近する技術があれば
包括的な科学者になれる。
想像力
テロリストの取材はかなり困難になったばかりか
その国家から志願兵は誰一人帰ってきていない。
国家(nation)とは、国境線ではなく
想像力(=image-nation)から形成されている。
想像力の欠如は武力で補われる。
軍産学複合体(Military-industrial complex)
死者に対する最高の手向けは
悲しみではなく報復ならば、
彼らも賞賛する立派なテロリストだ。
自分ではだれも殺害しない
武器商人組合員(=軍産学複合体)の手口に
騙されないはずだが
それがなかなか難しい。
この戦争のシナリオでは
民間企業の参加による雇用確保と価格と株価の安定をもたらす
軍需産業の利点が
住宅ローンと奨学ローンを抱えた人々から支持されるからだ。
正義
優れた仕事の報酬はより大きな仕事を望んでいる。
<罪を償わせる>手段として
人道支援はあり得ない。
テロへの報復として
武力による威嚇又は武力の行使が
国家を安全に保障できる。
強欲な正義は、国外で偽造された。
条件反射的な結末
国権の発動たる戦争を正当化するためには
政府工作員の処刑ではなく
フリージャーナリストの殺害を非難する
条件反射的な世論が必要だった。
テロ行為に屈しないならば
そして、こうした心理操作にも屈しないならば
<罪を償わせる>手段として
武力による威嚇又は武力の行使は
憲法に違反するという考えから
反条件反射的な行動が生まれる。
部分から推測される全体
すべての個人情報は部分である。
ビッグデータによる検索、共有、転送、解析、可視化などから
テロの防止、ビジネスの傾向の発見、研究のレベルの決定などが実行できる。
ビッグデータとは、そのすべての部分を集合させた全体から
部分のふるまいが推測可能なことを示している。
しかし、推測可能な全体を解析し、再び部分に応用するだけの世界が
しばしば完全に陳腐化されるのは、
人間が、部分からは推測不可能な全体の働きを突如発見してしまうからだ。
どの部分にも全体を予測できる要素は
まったく存在しなかった事実を認識する瞬間が訪れるのである。
つまり、個人の可能性は、すべての個人情報の集積をしても
部分からは推測できないのであるが
その経験から、もっとも怖れなければならないのは、
収集され捨てられていく個人情報ではなく
ビッグデータは重要な科学的発見の予測ができないにもかかわらず
ビッグデータの主導権が個人にないまま
ビッグデータの予測にしたがって、
群として現在を理解し未来を生きていく事実である。
政府工作員
イスラム国に人質として拉致されたのは
政府の組織的な動きの実行要員であり、
強大な工作予算とともに任務を請け負って
表向きにはNHKの番組レポーターとして派遣されたからだ。
しかし、工作に失敗した故に
いまや不都合な真実を持った彼は、
個人的な善意と友情から生まれた
しかし、その無謀さのすべてのリスクが
自己責任論で批判されるのではなく
英雄として救出されるシナリオに変えられている。
受信料を支払う人々は
すでに見えない心理作戦のなかに巻き込まれている。