シナジェティクス」カテゴリーアーカイブ

概念と観察

観察行為は、物質的で、
観察される対象も物質である。

観察行為は、観察される現象を
変化させるというハイゼンベルグの科学哲学は
幾何学をシナジェティクスに変容させた。
(準結晶学の構造を解明した最初の5回対称性のモジュール理論は、
1990年のシナジェティクスである。)

概念は、観察された対象から重要性を発見する。
重要性は非物質的であり、
観察行為(電子顕微鏡など)から形成されない。

直線的思考

直線的に成長し、増殖する有機体生命は存在しない。
そして、非直線的な映像編集方式(Non-linear editing)などが
人間の視覚的理解をより加速させてきた。

ミサイルの弾道は、非線形的であるにもかかわらず、
不安と怖れは、人々を直線的思考に耽らせる。
直線的思考は加速度的に生命を老化させる。

朝、目覚めた時アイデアが出来ていた

これまでの知識間の関係を否定する概念の発見とその起源まで遡る分析において
概念の発見の根拠を検証・分析する過程で獲得されていく新たな概念が
相互に統合され論理性へと到達するとは限らない。

しかし、ほとんどの学習過程では、
ある概念を発見した動機とその概念の起源にまで遡る分析のプロセスは省略される。
自己規律を教育する教師が不在の場合、
編集された知識による改良された技法とその優劣に始終するだろう。

もし、自己のテクノロジーによる主体とその倫理が探求者になければ
「朝、目覚めた時アイデアが出来ていた」と嘯く不器用な解説者は
やがて他者の発見を奪うために偽装工作する詐欺師に変貌するだろう。

自然の原理は、アイデアを作る技法から生まれないばかりか、
原理を発見する科学的な技法はまだ存在していない。

シナジェティクスは幾何学ではない

シナジェティクスは形態の探究ではないばかりか、
シナジェティクスは幾何学ではない。
25世紀間も幾何学は時間を含まなかった。
幾何学の探求者が新たなシナジェティクスモデルを発見することは稀である。
バックミンスター・フラーの時代から
概念モデルの発見を伴うシナジェティクス論文はアカデミズムでは不発だった。

プラトンの正多面体(Platonic solids)が
大理石という固体から離脱できなかったのは、
固体(solid)という永遠性に魅せられた古代メタフィジックスの限界からに違いない。
そして、固体は軍事的な要塞の城壁を維持してきた歴史を圧倒する。

シナジェティクスのモデリングの素晴らしさは、
最初のモデルで言及されなかった
新たなモデル言語をその同じモデルから発見することにある。
シナジェティクスは非物質化へのプロセスに現れるからに違いない。

それは、最初の自分とは違った存在の確認ではなく、
自己を超えた存在(unknown)の兆しなのである。

時折、シナジェティクスモデルは、メタフィジックスとフィジックスを
相互に変換する触媒機能を形成する。

☆解説 5回対称性の神秘について 梶川泰司
5個の正4面体から構成されたの20個の頂点は、正12面体を形成している。
各正4面体を構成する6本のパイプは、他の4個の正4面体と点接触で構造を相互に安定させシナジー的に自律する。

続)テンセグリティの起源

バックミンスター・フラーのテンセグリティは、
「臨界的に接近しながら分割された独自な出来事が、
純粋な原理において複合的に相互に作用する集合のみから形成された(RBF 1983)」
構造とパターンが発見され、
その構造とパターンが圧縮材と張力材に置換された最初の概念モデルである。

原子核やフラーレンの構造安定性を、
テンセグリティモデル以上の具体性に置き換えることに
だれも成功していない。

バックミンスター・フラーのテンセグリティの発見(1927,1949)によって、
プラトンの正多面体群が、
原子論の最初のモデルだった科学哲学史は完全に塗りかえられてる。

テンセグリティの起源

「鉄の棒が生コンに偶然落下してから25年が経過して
大型建築物における鉄筋コンクリートの実用化がはじまった」
(バックミンスター・フラー 1983)

柱と梁が90度で一体化した構造は、
地球上の疑似的な固体の概念に頑なに固執した物質化である。
物理学はけっして固体を発見しなかった。
非科学的な固体概念こそ、他の天体では過剰な重量ゆえに非実用的である。
地球上の資源では、人類のための20億戸の固体的住居は、供給不可能だ。

しかし、棒と紐が偶然から絡まって、
テンセグリティ原理の発見があったわけではない。

テンセグリティは、バックミンスター・フラーが
固体という概念から脱獄する過程で発見した宇宙の構造原理なのだ。

建築の構造とその歴史を全否定する構造原理としてのテンセグリティ構造を、
基礎を必要としない自律した永遠の構造原理として再考すべきである。

宇宙に存続する生命体として、人間の37兆個の細胞はすでに
例外なく基礎のない超軽量のテンセグリティ構造を採用している。

宇宙論(Cosmography)

シナジーとは、部分からその全体性を記述することが不可能な原理であり、
その物質化の現在性を回避することが不可能なもっとも身近な原型である。

シナジーは、未知を超えた自然、
さらにその自然を超えた宇宙論(コスモグラフィー Cosmography)を誘導する。

『コスモグラフィー』バックミンスター・フラー著 梶川泰司訳 2007 白揚社

地域人間=Think globally, Act locally

会社人間は、退職後は地域人間になりたがる傾向がある。
(例えば、業務能力は高いがコミュニケーション能力が低い人ほど
地域デビューを企画する。)

視野が縮小され、彼らの関心の対象を、
自分自身と局所的な問題に制限することを選ぶ傾向は、
会社人間時代とまったく変わらない行動原理だ。

関心の対象を自分自身と局所的な問題に制限した利己主義が
人々の最優先課題を解決できる幻想は終わっている。

<Think globally, Act locally>は、
バックミンスター・フラーの思想の破壊工作として
私以外のフラーの研究者・翻訳者によって組織的に捏造されてきたが、
人類を加速度的に発展させてきたのは、遠隔技術であり遠隔操作である。

つまり、「完全な機能の具現化(RBF)」のためのテクノロジーである。
(例えば、共産主義に対抗する軍事的遠隔操作として、
アメリカ海軍の最重要な遠隔基地=那覇がある。武器の極東修理センターは横須賀基地。)

<Think globally, Act locally>の起源は、
グランチが考案した、分断し征服するための軍事的な行動パターンである。

ローマクラブが主体となり大学や研究機関は、21世紀の環境問題を解決する思考方法として
<Think globally, Act locally>キャンペーンによって、
人々を概念の牢獄に長期的に幽閉してきたのである。

integrity&me

他者から真理が語られたことを受容することによって
真理の確認からではなく、自己の魂の高潔さ(integrity)を
外部から内部に対して示さなければならないという
自己のテクノロジーは、シナジェティクスに属する。

自己を含む宇宙に回帰していくための。

ネクスト・エッシャー

エッシャーはだまし絵作家として長く誤解されていた。
エッシャーは、人々を騙したのではなく、観察者の脳を騙したのである。

私が観察者の脳を騙すための超遠近法の理論を発表した後、
エッシャー研究はまだ一般化できない錯視現象の発見に夢中になったように見える。

私は、結晶学的な3つの操作「並進」「回転」「鏡像反転」を組み合わせた
「超遠近法」という概念を発見した。
この超遠近法は、エッシャーの卓越した技法とは異なっていたが
<不可能な図形>を科学的に生成するための
ネクスト・エッシャーへの原型となった。

シナジェティクスによる表裏という3次元の回転対称性の発見は、
エッシャーにおいては、2次元でのシンメトリーを生成し、
同時に混乱を与える技法の一つであった。

☆「超遠近法で解くエッシャーの秘密」梶川泰司 日経サイエンス 2007年1月号
http://www.nikkei-science.com/page/magazine/0701/escher.html
☆「Next Escher」シナジェティクス研究所 制作 2006
http://synergetics.jp/escher/index.html
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