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机上の耐震基準では生存できない理由

1.
すべての構造は
最終的にその構造毎に破壊実験をしなければ
耐震基準を満たしているかどうかは不明である。

2.
さらに、耐震基準は
同一の構造でも設計者の方針によって異なる数値となるので
構造解析プログラムを用いてほとんど簡易に算定されている。

3.
基本設計を担う建築家は
この構造解析プログラムにはまったく不慣れである。
彼らは専門性によって構造解析を分業する。

4.
しかし、設計者自らが構造解析プログラムと連動してデザインする自動車や飛行機は
量産される前に破壊実験をしている。
その設計方法の根拠は破壊実験を通してのみ
構造解析プログラムが修正される関係にあるからである。
(量産されるプレハブ構造以外では経済的に破壊実験を実施するのは不可能である。)

5.
耐震基準と実際の構造物は
つねに机上の理論(desk theory)で仮想的に関係してるだけである。

6.
土地資本主義から引き継がれた
グランチの時代遅れの方法論で建築ビジネスが維持される時
建造物の崩壊で死ぬ可能性は机上の耐震基準ではけっして軽減されない。

7.
真の構造は仮想的な関係を
完全に排除する科学から生まれるのではなく
その科学的方法によって発見されるだけである。

以上の理由から
人類は、机上の耐震基準ではバイオスフィア内には生存できない。

解読の原理

モデル言語は、それ自身のうちに、
自らの解読の原理を書き込んだ言語となった。

実際、テンセグリティは自らが帰属している構造とパターンで
制御されているにも関わらず
これまでのモデル言語のシンタックスとセマンティックとを
劇的に変えてしまう新たなモデル言語を
前提するようになったのだ。

発見された解読の原理を包含するモデル言語によって
これまで知られていたテンセグリティの構造デザインを
全面的に変更し、もっとも経済的に物質化してしまったのである。

21世紀のモバイルテンセグリティシェルターは
この言語で記述されていくだろう。

短命な大黒柱

それは、より重要な部分に対する科学的言説の破壊、
社会の内部で組織される科学的言説の制度と機能によって
中心化する構造作用に対する反乱、
唯一無二の大黒柱の作用に対する反例である。

テンセグリティにおいて起こっているのは
まさに構造の無化であり
構造の定義の革命なのだ。

テンセグリティ構造が発見されるまで
人類のすべての社会において
真の構造の概念は存在していなかった。

構造を無化するのは、真の構造によってである。

崩れ落ちた大黒柱は復興において
最初に修復されるが
自然の構造によって再び無化されるかぎり
短命で高価すぎる人工物である。

反・幾何学的方法

シナジェティクスが現代幾何学上の革命的な思考とビジョンである以上に、
バックミンスター・フラーによって打ち立てられた
シナジェティクスと幾何学との相互関係と断絶を、
その後の研究者が乗り越えることができなかったということだ。

シナジェティクスと相補的なデザインサイエンスは
ともに研究対象ではなく、圧倒的な探査方法だからにちがいない。

事実、フラーは幾何学研究者であったことは一度もない。

探査によって経験された事実から
秩序を発見していく峻烈な操作主義によって
初めてシナジェティクスが形成されていく。

シナジェティクスは幾何学からは始まらなかった。
そして、シナジェティクスはシナジェティクスから始まらない。

形態の無限性

シナジェティクスは、
テンセグリティ構造以上に単純な相補性に基づいた構造は存在しないという
<原型の有限性>の発見によって20世紀の革命的な科学的な概念を得た時、
デザインサイエンスは、
化学元素の組合せの無限性から生まれる素材と生産技術がもたらす
<形態の無限性>にデザイン理論の根拠を置いたわけではない。

モデル(model)と形態(form)という
本質的に異なる知への認識はシナジェティクスに含まれ、
峻烈でエンドレスな探査は
シナジェティクスにも予測的デザインサイエンスにも含まれる。

退屈な知の形式

シナジェティクスの探究には、誰の許可も必要としないイニシアティブが与えられている。
個人だけが思考することができ、自分の経験に現れる<原理>を探し求めることができる。

しかし、シナジェティクスが<主観性>によって自己と保つ関係の構築には、
権力との諸関係から批判すべき退屈な知の形式に変貌させているのではないのか
と自問する必要がある。

例えば、単なるジオデシックドームやテンセグリティに関するプロダクトデザインが
予測的デザインサイエンスで解釈される場合である。

彼らのデザインは、バイオスフィアでもっとも経済的に
そして安全に生存するための
20億機の軽量シェルターの生産技術とは無縁である。

3次元幾何学とCADデザイナー

メタフィジックスに対する従属としての自己規律という考え方は
消滅しつつあり、遂に消滅してしまったのかもしれない。
この自己規律の不在に対処し、応えるべき探求とは、
<生存のテクノロジー>の開発と探求である。

〈生存のテクノロジー〉の探求とは
デザインサイエンスであり
メタフィジックスに対する従属としての自己規律という考え方が
シナジェティクスを生んだのである。

<生存のテクノロジー>を拒絶した3次元幾何学と
それに従属するCADデザイナーは
もはや時代遅れである。

点、線、面の各モデルの組合せから
<生存のテクノロジー>の源泉となる
新たなモデル言語は一つとして発見できない。

超越論的シナジェティクス

経験的な主観的事象を
バックミンスター・フラーの発見した
シナジェティクスモデルだけに変換する人々に
主観性はことごとくシナジェティクス原理には再構成されない。

経験的な事象を超越論的シナジェティクスで変換すると同時に
主観性に接近させる場合に
密かに未だ解明されていない
シナジェティクスモデリングを発見するプロセスを経由しない思考方法は
退屈な3次元幾何学の思考パターンに陥っているだけである。