政治は基本的な不足を解決する方法につねに関与する。
必要な時に最小限の部品を調達できるデザインに政治は介在しない。
生存に必要なすべての機能が、
既製品に置換される段階に不足は存在しない。
「デザインサイエンス」カテゴリーアーカイブ
非経済的
非効果的な仕事を意図的に考案し
その仕事によってより多くの人が生活費を稼ぐことが出来るように
遂行される場合、全体は非経済的になるが
その仕事の背後にある間違った仮定を
人々はほとんど是正できないと思わされていることが
もっとも非経済性を維持している。
総三角形化
ジオデシックドームは、総三角形化されているから
安定すると考えられている。
しかし、半球状のジオデシックドームの接地面が
少なくとも5角形以上の多角形であるかぎり
総三角形化されていない。
ジオデシックドームは水平な基礎がないかぎり
その構造はけっして安定しない。
選ばれなかった自由
誰にも車やPCを選ぶ自由がある。
しかし、21世紀になっても
住居に関しては経済的な理由から
選ばれなかった自由の方が圧倒的に優勢だ。
さらに、住居を選ぶ自由はインフラで制限されてきたが、
テンセグリティシェルターは
もっとも経済的に、健康的に、
そして望むならば、
移動しながら住む自由の中に選ばれるだろう。
より少ない既製品で空間を構成する
惑星地球の気候の変動と共に環境を安全に制御するためには、
簡単に移動できる自律的な空間構造物が必要である。
折りたたみ傘が、環境を制御するモバイル皮膜構造物であるように、
全天候性の超軽量モバイルテンセグリティシェルターは、
絶えず変化する気候に長期間対応するための
断熱性、遮熱性、耐候性、耐久性を維持する各部品は、
すべて世界中の既製品で代替され、ユーザによって交換可能になる。
すべての機能は、より少ない構成部品から構成されるべきだが、
より少ない既製品で構成することは、もっとも困難なデザインである。
モバイル・テンセグリティシェルターのすべての構成部品は、
世界中の既製品から構成される。
それは92の元素の相互結合の組み合わせよりも困難に違いない。
マルセル・デュッシャンが便器にサインしたように、テンセグリティシェルターは複製される。
分子間の結合のように
剛性と強度を偽装した構造を暴き出すには、
面のない構造フレームだけでは不十分だ。
フレームの各頂点で、剛性の高い結合材によって
相互にフレームを結合している限り。
自然の構造には、
離れた距離で初めて働く電磁気学的な力が存在する。
分子間の結合には、
構造物のような結合材が介在しないように分子間力が働く。
テンセグリティ構造には、剛性や強度のある結合材はいっさい存在しない。
張力材は、圧縮材に圧縮力を生じさせるための張力ネットワークである。
テンセグリティ構造はもっとも軽量で経済的である。
そして安全である。
春の嵐
止むことがない外力と衝突する前に、
外力を受容し、
非同時的に外力分散するシステムは、
けっして劣化しない。
過剰な外部エネルギーから過ぎ去るために内部は
外部エネルギーによって全方向に秩序化されるのである。
システムは、より組織するために部分を絶えず再生する。
テンセグリティシェルターは
瞬間風速30メートルの春の嵐を待ち伏せる。
壁
住宅の壁は、構造の一部である。
外敵からの攻撃やプライバシーの保護のために
その壁は、つねに不透明である。
建築構造では、
この防御壁は不可欠な構成要素であるが、
壁は、無知と恐れが物質化したのである。
植物の茂みが内部空間を分割するシェルターに防御壁は不要だ。
シェルターを覆うフィルムは、
内部と外部の境界面、そしてテンセグリティの張力面としてのみ機能する。
予測的人類学
単一な植物を大量に栽培するには、
肥沃な大地に群れとして接近する大型の単一の動物の家畜化が前提だったという人類学は
農業化と酪農化の専門分化を支持してきた。
単一の植物の栽培化と動物の家畜化のための社会構造化から
遊離できる自然農に接近するには、
もっとも経済的で耐久性の高い全天候性のセルフビルドのシェルターが前提となる。
高温と寒冷、そして放射物質から防御するセルフビルドの農業用シェルターも含まれる。
その結果、最小限の田んぼと畑、そして水の再生と
電気エネルギーの自律的な生産が十分に確保できるのである。
これは予測的デザインサイエンスである。
方法の蓄積
「数打てば当たる、ノウハウはそれで貯まる」といった
専門家たちを信じてはいけない。
当たる的があることが前提のどのようなノウハウからも、
新しい方法や課題には遭遇できないからだ
問題を解く方法に新たな問題を発見する方法は、含まれない。
ノウハウの蓄積のみに、未来はない。
ノウハウの破壊が含まれないから。