トリムタブ」カテゴリーアーカイブ

step out

考えたことを教えるは簡単だ。定期的な試験によって、
教師はこの理解の度合いを測ってきた。

しかし、考え方を教えるとたいていの学生は発明をするだろう。
新しい生き生きとした観念は、小さなグループの対話から生まれる。
たいていの教師はこの可能性を教育する機会を奪われている。
「教育もまた、教育を必要とする」(マルクス)以上に、
考えることを考える行為は、学習から除外されているからだ。

ところが、現在多くのパソコンユーザたちは、
パソコンを自動診断するアプリケーションから
システム自体の問題を診断できない場合、
同一のアプリケーションとシステムがインストールされた外部のハードディスク
から簡単に内部のシステムを診断し短期間に改善できることを知っている。

自分の間違いを効果的に発見するには、<step out>という操作が不可欠である。

創造的な自己学習は、システムの内部と外部との絶え間ない観察者の移動を伴う。
                                  Y.K

実験的なブックデザイン

注釈を書いて本文を書く人はいない。
ところが注釈から読んで、本文を読まない読者はありふれている。

一方、バックミンスター・フラーの真の偉大さの理解は、
つねに後回しにされる傾向があった。

この2つの傾向が、注釈と本文のテキスト量をほぼ等価にした、
『宇宙エコロジー』美術出版社 (2004/07)の実験的なブックデザインであった。  Y.K

『寝太郎』

稲作による真の富を表す「三年寝たろう」(=シントロピーの利用によって、3年に一度の豊穣な稲作によって生存できる地域が存在する)は、高度消費資本主義社会の市民農園から決定的に遠ざかる。
『寝太郎』が稲作の平均的な姿であることは決定的に疑われたままである。  Y.K

最優先課題

京都議定書のエネルギーに対する規制よりも、京都議定書にはない有限な化石燃料への課税のほうがより効果的ならば、二酸化炭素の増加に対する規制よりも有限な酸素への課税のほうがさらに効果的である。新たな元素消費税(科学的には酸化税、酸化還元反応はかならず対になって生起する)の概念でもある。そしてその課税対象には、人間、家畜、そして自動車も含まれる。人間の燃費も考えなければならない。そもそも燃費がよくても無駄に動きすぎる人は車以上に多いのだ。
そして課税という政策から、この問題は遂に解決しないことがわかるだろう。なぜなら最優先課題ではないからだ。

デザインサイエンス的戦略では、京都議定書を実行する半分の費用で、清潔な飲料水、下水設備、基本的な医療、そして教育が、残りの半分の費用で移動住宅と在宅勤務を、地球規模の地球人に供給することができる。  Y.K

電磁誘導

どの本に読む価値があるかを見分けることができない段階で本を読むべきではない。では、どうすれば、学習できるのかというジレンマを想定するが、教育によって、本を読む前に誰に教わるかが忘れられている。教育は、学ぶ動機がある場合、誰かからなのかがもっとも重要な問題だ。本の数よりも教える人は常に少ないのだから。

1970年代にはすでに、多くの知識人と優れた教育情報環境にいた学生(特にデザインや建築学の学生)たちは、バックミンスター・フラーのことを私以上に知っていた。しかし、彼に個人的に会ってシナジェティクスの個人教授を受けようとした日本人はいなかった。結果的に私は彼から共同研究する機会を与えられた。
この行動の動機はいまでも、シナジェティクスの開発には重要だ。直観的だからである。直観とは想像力による電磁誘導なのである。この直観は、内的なデフォルト知性の成せる業とも言える。21世紀はこのデフォルト知性にしたがって、個人が世界の優れた教師に出会うことができる社会を形成しつつある一方、古い教師たちは、直観を蔑む教育を維持するだろう。  Y.K

自然には過疎はない

過疎化する農村や都市はあっても、自然には過疎はない。
結合と解離しかないのである。

われわれは、結合と解離が無意識で運用されているシステム、
つまり生命の合成にはまだ成功していない。
それどころか運転手付きの自動車に替わるシステムもできていないのである。

過疎化する失敗した農業から、つまり農薬によって長期にわたって汚染され、耕作機械によって不注意にも破壊された表土からなる農業地帯をバイオスフィア自らが再生する過程から、自然が、短時間にもっとも経済的に修復する方法を学ぶことができる。

真の科学的なコスト計算とは、その全作用を人間の作り出すテクノロジーが代行した場合のことである。しかし、修復にかかるすべてのコストを計算できる科学者はいないということは、重要な科学的事実である。  Y.K.

「平均的」革命

科学者バックミンスター・フラーは
若くて一番頭のいい時期に幾何学をはじめ、
お金がなくなり自殺未遂の直後からデザインサイエンスを決意し、
多くの人にとって一番頭の衰えた時期に再び数学をやった。
そして、哲学と歴史を常に学んでいたので、
どの学会にも属すことなく、
銅像と記念館は、もちろん建てないようにと遺言を残した。
なんという常識と平均との著しい宇宙的差異!!
「平均的」個人による「平均的」革命は漸進的に遂行された。これは一つの明快な詩人の認識論ではないだろうか。  Y.K

プログラム共通化

教育のカスタマイズをもっとも妨げているのは、
学校という建物と終身雇用の教師と
平均的にみせかけた喜びのない教科書である。
異なった車やパソコンの世界的な規模での部品共通化が
カスタマイズやオンデマンドを加速したように、
これまでに発見された科学原理群の存在は、
世界的な規模でのプログラム共通化の対象になる。  Y.K