冥福とは死者の行先である
冥界での幸福を意味するならば
冥福を祈るのは、信仰心がない人が
死者の迷いを想定している虚しい行為になる。
———死への怖れから
そして、死への怖れから
死者を同情するほど死を遠ざける行為はないのだから
冥福は祈るのではなく
死者の安否と迷いを気遣うしかないのである。
われわれの存在が星のかけらから始まって終わるのが
宇宙物理学ならば
夕暮れから裏庭で焚火をして死者の数だけ
流星をみるのは21世紀でもコズモグラフィーに違いない。
流星は毎日100トンもバイオスフィアに降り注いでいる。
———-火山灰のように
「裏庭(背戸)」カテゴリーアーカイブ
観測史上最大
日本のほとんどの谷と沢は
アジアの偏西風による集中的で局所的な雨量
と地殻変動によって形成されてきた。
せいぜい、1974年からはじまった1300カ所のアメダスの記録を
標準にしている最大値ほど自然を見くびっている観察方法と
貧弱な観察事実はないだろう。
毎年、観測史上最大を繰り返す気象学は
プレートテクトニクスに対して情緒的すぎる。
地球の内部と外部との相互作用に関して
気象学は、大気圏のパターンを扱っているにすぎない。
惑星地球は人類が気象を観測する前に
観測できる環境を自らデザインしているその構造とパターンを
大気圏の内部からも外部からも人類はまだ観察できていない。
バンアレン帯と太陽黒点☆との相互関係を無視して
天気予報を信じて生活していると
特に海岸部の都市部では短命になりやすいという統計的事実を
気象学とNHKが除外しているだけである。
☆ 2014年8月の太陽黒点数は、2013年8月の2倍であった。
黒点相対数の国際共同観測は1855 年から始まっているが
今年の夏は観測史上最大値級だったのである。
アブラコウモリ(Pipistrellus abramus)
この季節の油蝙蝠は
19時30分に外出し、4時30分に空から帰宅する。
私が仕事する時間は、
コウモリと完全に反対称的である。
一回の飛行で餌となるカやガ、 ハエ、ユスリカなどの
小型の昆虫を体重の半分近くの3グラム程度食べるらしい。
低速で飛行するわりには彼らの捕獲が困難なのは
自在に角度変化できる主翼の手と共に
コウモリの長いしなやかな三角形上のしっぽに
優れた尾翼の機能があるにちがいない。
コウモリの全長はこの折りたたみ可能な
尾翼のために極めて測定しにくい。
飛行中の撥水性を帯びるために
油を塗ったような体表の触感が彼らの名称である。
空中や水中を移動しながら捕食する
生命体は移動エネルギーを確保する以上に
生存のためのエネルギーを保存するために
空気や水の抵抗を軽減する形態をデザインしている。
自然科学
雑草と共存可能な無肥料で不耕起の
無農薬栽培方法を
もし自然が許容しなければ
どんな植物も成長できなかっただろう。
自然農は自然科学に属する。
自然科学は
日本では単に理系のカテゴリーに属するだけで
自然農は科学として認識されていない。
夕暮
闇夜に蛍が飛ぶ交う前の
薄暗い夕暮を飛ぶコウモリを
無傷で捕獲する方法を考えている。
彼らの翼は伸縮性のある膜でできている。
傷ついた皮膚のような翼から流れる血は赤い。
人類は1種類だが
彼らは数百種いるらしい。
哺乳類で完全な飛行能力を持ったのは
彼らと人類だけだ。
2つの虹(RainbowとMoonbow)
夕暮れ時の雷雨が引き起した虹の後は
梅雨が明ける。
プリズムでは内部での屈折は2回だけど
虹は球体内部に入る時と外部に出るときの
2回の屈折だけはなく
内部反射が複数回ある。
内部反射の回数を重ねると光の強度はより劣化する。
水滴の半径がほどよく小さい場合
赤から紫までの虹の幅が広いスペクトルが現れる。
もっとも美しい幅の広い虹の内部反射は
最大2回程度で生成しているだろう。
観察者が地上にいるかぎり
虹はつねに半円型のアーチである。
Rainbowは<雨の弓>ではなく
空気中の不連続な水滴による
太陽光の屈折と反射の集積なのである。
太陽があるかぎり、虹の見えない場所はない。
十分な光を放つ満月の時に
月光による月虹(Moonbow)を見ることができるが
星空のなかで月虹の見える場所は
地球上では限られている。
土石木流
<山腹が崩壊して生じた土石等又は渓流の土石等が
水と一体となって流下する自然現象>と定義されている。
しかし、山腹が崩壊するのは
広大な人工的杉林によって保水性が欠乏したためだ。
したがって、ほとんどの土石流は自然現象ではない。
土石流の映像には
無数の無残な杉が土石と折り重なって流されている。
もはや<土石>流ではなく、<土石木>流である。
副産物
梅雨の季節は
スタジオでずっと仕事をすることになる。
問題は減らなかった。
梅雨の雑草の成長速度が加速するように。
夕暮れが終わる頃から
遠くまで拡がる単調な空を見ながら
酒を酌む。
夏が来るまでは
問題は減るよりも増えだろう。
問題がすべて思考の副産物だとしたら。
共進化(Co-evolution)
裏庭は森へと続く最初の入口(=背戸)かもしれないが
地下30キロメートルの地殻にまで生存する
微生物圏のサブシステムの出口を構成している。
——–バイオマスの相対比からみれば。
微生物が作り出した膨大な油田と
21世紀にまで存続する石油資本との関係は
地下に長期に埋蔵されたバイオ系エネルギーによる
内燃機関を開発し続ける
一時的で特殊な共進化(Co-evolution)である。
ハイブリッドカーでさえまだ微生物圏のサブシステムである。
親しさ
親しみのない存在は
不自然に感じるから
自然に精通すると
無遠慮な関係までも
エコロジーに含むようになる。
なれなれしさは
身勝手な愛撫でしかない。
自然を裏庭のように
親しい存在にしたいだけなのだ。