信頼

経済は変化してやがて悪化する。
道徳律もつねに変化している。
そして、宗教や国家は多数生まれてきた。
しかし、それらは人類への愛のために利用できる
原理の数よりも少ない。
しかも、原理は人間に発見されてもけっして変化しない。
宇宙はとても<信頼できる>システムを採用している。
この<信頼>を表す言葉は日本語にも英語にも見あたらない。
少なくとも宗教や国家を<信じる>という意味からは絶縁している。

考える条件

教えたことはすぐに忘れられやすい。
考える条件を教えるべきで、
考える方法も教えるべきではない。
人類の最初の考える条件が
恐怖と飢えからではなく、
無知と好奇心だったから。

デフォルト

対話のデフォルトは
<より重要な部分をもたない>ことにある。
これはモラルではない。
<より重要な部分をもたない>全体は
つねに振動している。
動的に平衡状態を維持するために。

対話

議論は圧縮的であり、会話は張力的である。
対話は統合的である。
非鏡像的であるが
相補的な統合機能が視覚化できたのは
わずか半世紀前である。

頭脳教育

学ぶに老いすぎていることはないが、
学んでも思考しなければ、
こどもでさえ老いてしまう。
頭脳教育にはもっとも危険な老化作用がある。

子ども

嫌いな子どもと話をしていて
親の顔が見たいとは思わない。
両親の話を反複するから。
尊敬できる大人と話をしていると
子どもの顔が見たいと思う。
私とする話がまったく想像できないから。
子どもと話をしない怠惰な両親と
大人と話ができない退屈な子どもは
ますます増えている。

第2の人生

年金制度が崩壊するかしないかに関わらず、
知的産業社会では、
若いときから第2の人生が必要である。
世に出るための仕事と世を出るための準備。
私は無知からいきなり2番目からはじめてしまった。
そして、これまで私が仕事ができたのは、
20世紀以後のテクノロジーは
世に出ても、世を出ても使用できることにある。
いつでもどこでもを可能にするすべてのテクノロジーは
宇宙に属する。
この宇宙の「経済ニュース」こそ定期購読すべきである。

セレンディピティからプリセッションへ

高校時代に、本を読む読まないにかかわらず、
本に書いてあることを話すひとから
学ぶことは何もないと思っていたが、
セレンディピティserendipityほど本から盗まれる話はないだろう。
しかも、本に書かれたほとんどのセレンディピティは、
伝聞情報である。
偶然と計画的偶然の違いについて
経験豊富な教師は学校にはいない。
すべての科学の教科書から本質的なセレンディピティは排除されてきた。
セレンディピティは論理的ではないし、論理の対極にあるからではなく、
セレンディピティを経験すればするほど
編集された言語の限界に接近するからかもしれない。
真の科学者がほとんど教科書を書かないのは、
このセレンディピティを重要視して生きているからだと思っていた。
実際、科学者の伝記の方が教科書よりも包括的である。
ところで、シナジェティクスでは
セレンディピティはプリセッション(計画的偶然)の概念に置き換えられる。
セレンディピティを知ろうが知るまいが、
思考方法には影響を与えないにしても、
プリセッションの概念にはまったく異質な目的論が内在する。
バックミンスター・フラーが自伝を書かなかったのは、
クロノファイルで十分だったからだ。
それは、プリセッションをもっとも頻発に発生させる装置である。

会計システム

会計学とは何か。
この世のすべての富とすべての借金を足すと
ちょうどゼロになる。
言い換えれば、誰かの富は誰かの借金である。
(会計学からみれば、あらゆる戦争は時代遅れである。)
いま日本人の借金は1300兆円を超えている。
それはすでに日本人の預貯金総額を超えたのである。
しかし、金利がある限り、
今後1世紀以上も返済できない数字である。
(世界中の植民地の教会で最初に教育されてきたのは
英語と金利計算のための数学である。)
全てが失われようとも、まだ未来が残ってるという
経済的幻想に対して
人々は相も変わらず「システム」と呼んでいる。
課金システム以上に略奪するシステムは
もっとも非人格的に成功してした会計システムだ。

言葉

新たな発明を理解するために
先行技術調査から始めるのは、発明者ではなく特許審査官である。
類似した特許を裏付ける技術またはその起源を探せない審査官はいない。
すでに決めている視点を他の発明や研究から探すのが得意な人は
研究者に限ったことではない。
その方法は新しい視点を生むことに対しては不毛である。
発明や発見は先行技術という事実を探すことからは始まらない。
発明の真の有効性を検証するには、
事実よりも発明にかかわる概念がどうあるべきかという
作業仮説をもたなければならない。
優れた発明はしばしば
よく知られた言葉を解体する。
さもなくば、
新たな言葉を創り出す。