月別アーカイブ: 2008年1月

短縮形

ES細胞は胚性幹細胞(Embryonic Stem cell)のことである。
われわれの言語は<短縮形>を好む。

ES細胞の発見は、
部分がすでに宇宙それ自体を<短縮した存在様式>を意味している。
人間は宇宙でもっとも複合的な存在様式かもしれない。
ES細胞の実証された機能から万能細胞とも呼ばれている。

人間は、
宇宙で最高度に短縮された
あるいは圧縮された万能有機体である。

しかし、解凍の仕方に問題があるので
宇宙での適正を図る最終審査が始まっている。  Y.K

複合系

経験はけっして基本的ではない。
経験はつねに複合化された関係(complex)を形成している。

原理の発見がかならずしも
実験数値から一般化されていないのは、
概念的な一般化は本質的にこうした経験に基づいているが
実験数値からのみ導かれる
限定的な経験主義ではないからだろう。

「全体とは、部分の総和以上のなにかである」という
概念は20世紀の複雑系(complex system)の科学哲学を生んだが、
この複雑系は複合系と訳すべきである。

バックミンスター・フラーのシナジェティクスは、
「複雑な現象を複雑なまま理解しようとする方法」ではなく
複合的な現象を複合的な経験から包括的に理解しようとする
操作主義的な方法である。

シナジェティクスは最初の複合系の科学哲学である。Y.K

複雑系

複雑にできている物事を
決して単純化してはならないと考えている人は
シナジェティクスのことを「複雑系」と分類している。

自己組織化の一般化を自負する「複雑系の法則」が
もっとも単純なテンセグリティ構造の
リダンダンシーの自発的排除を
分析できているわけではない。

シナジーという単純な言葉で説明してばかりいると
自然に適応できないと感じる恐れは
世界権力構造という最大規模のリダンダンシー
の自己組織化を意図的に解読しないだろう。

つまり、バックミンスター・フラーの
『クリティカル・パス』は複雑系の対極にある。  Y.K

宇宙寒冷化

地球温暖化で大気圏外に
放熱されなくなったエネルギーのことはだれも言わないが、
宇宙のどこかが冷やされている。

局所的宇宙の温暖化は、
局所的宇宙の寒冷化を引き起こしている。

地球エコロジーの危機は、
宇宙エコロジーを除外していることで加速する。 Y.K

思考の請負

アメリカ先住民の〈神〉(Great Spirit)は、
擬人化した神ではない。
狩猟と耕作の権利は与えても土地の所有権は
決して与えないということは自明であった。
この先住民はかつての海の民だった。

常に変化する大洋において、
特定の海域を〈所有〉することが
現実的だと考える船乗りはいない。
先住民にとっては土地を所有できるのは
グレートスピリットだけだった。

アメリカ先住民は、自分たちがヨーロッパ人に
売ろうとしているのは釣りと狩りの許可証だけであり、
土地の所有権ではないと考えていた。
「船は海域とともに販売できない」事実を知りながら、
「家は土地とともに販売される」理解できない法律に適応するために、
しぶしぶその所有を試みたが、
多くの海賊の末裔たちは全盛時代の自惚れによって
すでに手遅れだった。

この海と陸の対立の基準は
今では「捏造された妄想」に変容したが、
法律に適応した人間から、
グレートスピリットは完全に消えてしまった。

他者の思考を請け負って意見を異にする人間を一掃する
モラル・マジョリティーは
環境の悪化とともに増加している。 Y.K

半球テンセグリティ構造

全球のテンセグリティがオブジェとして美しいのは自慢にはならない。

テンセグリティ構造を正しく設計すると、
半分切除した半球状のテンセグリティモデルでも、
床に落下させるとボールのように
バンドすることが確認できる。
(構造を扱うと自負する専門家にとっては、
テンセグリティ構造から数本のテンション材が切れた状態以上の
破壊を意味しているので、この実験は彼らの常識の破壊実験に変貌する。)

経済的に自立する半球のテンセグリティ・ジオデシック構造が美しければ、
それは原理の統合性の美しさだ。

ただし、人間がつくり出すどんなデザインも到達できなかった美だ。 Y.K

ケチなエコロジー

ケチな行為をエコロジーで偽装する
もっともケチな企業と人間が増えている。

自然がもし
人間のようにケチなら
人類に石油資源の採掘権を無償で譲渡しなかったとは
思わないのかい?

自然がもし
人間が発見したエコロジー概念にそってふるまうなら、
現在の人類はとても存続できない。

などど自省して
今度はバイオからアルコールを搾取するのもいいけれど、
自然に優しくしながら奪ってばかりいると
「ただより怖いコトはない」のだ。

法律家資本主義に贈与はあっても、
恵みという概念が排除された時から。 Y.K

思考を声に出す(thinking out loud)

「思考したことを声に出す」ために
原稿を用意する社会的習慣がある。

しかし、「思考したことを声に出す」ことと、
「思考を声に出す(thinking out loud) RBF」ことは異なっている。
思考と声はほぼ同時的にリンクできる。

この能力を最初に隠蔽しているのは
教師たちである。
両親が教師に替わる場合も珍しくない。
彼らにとって学習とは他人の思考したことである。

そして、ワープロの音声入力を怖れている学生は実に多い。
専門分化はすでに思考と声から始まっている。    Y.K

宇宙計画

21世紀の工業先進国は
ひたすら宇宙計画(=space program)の過程にいる。

彼らの物理的宇宙(space)が、
もう一つの宇宙(Universe)と分離されているかぎり、
宇宙それ自体に近づこうとして
取るに足らない資源争奪戦をしているだけかもしれない。  Y.K