シダと風

梅雨がやって来る前に
森で小さな焚火をして、コーヒーを沸かしていたら
宮島の弥山周辺の巨石群に生えている
美しい垂直な岩草原を想いだした。
五月の一つ葉シダが群生して、海からの風を写し取っていた。

幻の宮島シダを幾度も探していた10代の頃の
その巨石群の頂上での瞑想は、絶えず<緑の風>に満たされていた。

あの巨石群に、ふたたびコスモグラフィーに連れ出す
垂直な<緑の風>が吹いている。

この瞬間に、太陽が黄道上でプレアデスと重なっている時空さえも。