プリセッション

1852年に砲弾の弾道を研究していた軍事技術者マグヌスは、 命中率をあげるために弾丸を回転させると、軸回転方向に対して直角に弾道が曲がる現象に気づいた。球形の弾丸が飛翔中に曲がるという原理を解明する糸口を掴んだ。
円柱または球が回転しながら粘性を有する流体中を一定速度で移動、または一様な流れの中に置かれた場合、円柱または球の表面に接する流体が粘性によって回転運動に引きずられ、回転速度及び粘性に相応する循環が周りに発生、移動方向または一定な流れに対して垂直の力、つまり揚力が発生する。

流体という運動体とその中で回転する円柱には相互作用が働く。
マグヌス効果はジャイロコンパスの角度変位とは異なったプリセッションと見なされる。

ジャイロには機械式、光学式、流体式、振動式があるが、すべて90度の歳差運動の相互作用で角度変位を検知できる。コリオリ効果も含まれる。

プリセッションはつねに90度の相互作用である。

プリセッションは、宇宙に対する回転の速さを計ることができるセンサーをデザインするための原理の総称でもある。  Y.K

流体テンセグリティ

流体ネットワークが圧縮という機能を担う場合は、骨格と筋肉をテンセグリティと見立てる概念からもっとも想像しにくい。
これは液体を利用したテンセグリティ概念である。

われわれの血管も血流をコントロールする流体ネットワークである。
筋肉を鍛えるよりは、血流をコントロールして血管全体に圧縮機能を持たせることができる。
アドレナリンの作用によって運動器官への血液供給増大を引き起こすことで瞬時に心筋収縮力の上昇が図れる。
火事場の馬鹿力は流体テンセグリティ化したわれわれの身体の実例である。
閉じたシステム内の流体は、引張機能ではなく、圧縮機能に変換できる。

血液などの粘性が常に変化する流体を無意識的に意識的に制御する生体システムにシナジーは無数に潜んでいる。  Y.K

ロハスと環境デザイン

1990年代に登場したロハス(Lifestyle of Health and Sustainability)は
地球規模での環境や人間の健康を最優先するライフスタイルを浸透させてきた。
ロハスは、できるだけ電気を使わない非電化スローライフがエコロジーだという思考を生んだ。
しかし、環境や人間の健康を最優先できる人類は、北半球にのみ集合している。

朝陽がさして霧が発生するとき大気圏には2種類の気体が発生している。
水蒸気を囲んだ雲と雲でない気体部分である。
これらには温度差があるので電位差が生じる。
このゼーベック効果による電位差が激しいときには雷となって蓄電された雲は地上と放電する。
ループに電流が流れ、磁場を発生させる大気圏という流体をはじめ、バイオスフィアは非電化ではけっして運営されてはいない。
いちごの果実(花托)内部にも野ウサギがジャンプするときにも微弱な電流が流れている。

バイオスフィア自身のライフスタイルはスローライフでもファーストライフでもない。
いちごや野ウサギはライフスタイルを選択しない。
彼らは選択しないことで生存している。

人類だけが産業革命毎にライフスタイルをデザインしてきたが、
絶滅の危機を回避するための方法をこれまでのようにライフスタイルに求めるのは
統計的には、もっとも短命な非エコロジー的行為である。
21世紀の人類のライフスタイルは環境デザインの結果であって目的ではない。  Y.K

ゼーベック効果
2種類の金属の両端を接続し2つの接点間に 温度差を与えると電流が流れる。

獣医のペット化

野生動物はほとんど携帯電話が通じないエリアに住んでいると考えていい。
ペットショップのエリアマップは獣医のいるエリアマップと重なり、携帯電話の圏外エリアと一致するだろう。

獣医は野生と隔たって生きている。
野生を駆逐したところで都市の獣医の仕事は形成されている。
野生動物を治癒する獣医は、こうした環境からかけ離れた環境を選んで住むしかない。

傷ついた野生動物を携帯電話が通じるエリアで営業する動物病院に連れて行くことは時として、助かる野生動物を死に至らしめる。

ペット専門の獣医に、野ウサギや野鳥の治療法や回復するまでの一時的な飼育方法を期待することは野生動物にとってかなり危険な医療行為を助長させることになるからだ。

美容整形外科医に心臓手術を期待してはいけないように、
動物の医療には動物の種類ほどの専門性が必要だ。

都市部のペットショップのアフターケアのような動物医療に甘んじているプライドのかけらもない獣医たちに、野生動物の治療をけっして託してはいけない。

心ある獣医は、治療可能な動物の種類を看板に明記すべきである。
野ウサギの治療と猫の治療は月とスッポンである。
動物を愛する信頼すべきアドバイザーを求む。  Y.K

アンチ・アブノックス

「ロシアの大陸間弾道ミサイル(ICBM)を日本のNPOが買って広島・長崎で解体・展示という皮肉な主張はどうだろうか?ヒロシマが核の象の墓場になる」などと考える人は 、まさにハリウッド的なアブノックスの虜になっているが、解体して回収できる金属でブレスレットやジーンズを製造・販売するのではなく、回収されたその金属で住居(シェルター)を製造・販売しなければアンチ・アブノックスにはならない。
人類の膨大な資源は兵器として地上または大気圏内外に貯蔵されている現実はお金では買えない。
金属は産業社会ではもっとも再生的な元素であるという「もう一つの現実」が兵器を溶解させているのである。  Y.K

「核兵器解体基金」のムダ

ロシアの大陸間弾道ミサイル(ICBM)を解体して回収できる金属でブレスレットやジーンズを製造・販売し、新たな核廃棄資金に充てる「核兵器解体基金」[時事通信社 05月23日]は、お金によって核兵器も廃絶できるという資本主義的交換価値理論を忠実にデモンストレーションした。
しかし、お金によって核兵器も廃絶できるというのは、世界を経済学だけで考えるとてもお人好しな勘違いである。センチメンタルでアブノックスな企画商品である。
この「核兵器解体基金」のプロモーションをハリウッドスターのスティーブン・セガールが引き受けていることとは無関係ではない。
こうしたプロモーションは軍事目的で仕掛けられるいつもの巧妙な心理戦(平時用)である。

なぜなら、

核軍備なしでは資本主義は存続できないという資本主義のデフォルトは、核兵器ではなく共産主義を廃絶するまではけっして変更できないからだ。このデフォルトは、政治家が核に関する軍事技術開発のイニシアティブを軍部に譲渡した時からはじまった。


兵器は計画的に陳腐化される資本主義の最大のオーダーメイド商品である。
「核兵器解体基金」によって兵器と交換されたお金は、再び最新兵器として再武装されるサイクルを早めているにすぎない。ソ連が解体されても軍備を解除したわけではない。


冷戦を有利に戦うためにを口実にして製造された核兵器は、ついに冷戦後も廃棄されることはなかった。むしろ、局地戦争をより分散化する小型の核が必要となっている。  Y.K

除海草剤

海草に群がる魚が人類よりも多いように、雑草に群がる昆虫は魚よりも多い。
その昆虫が激減しているのは除草剤の影響であるが、イワシが激減した理由も、近海の海草が畑から川に流れ出した除草剤で除草されるからだ。
除草剤は雑草と海草を除草するだけで昆虫と魚、そして小動物を順番に駆除できる。
なんのためにか。
食料を独占するためである。
サッカーワールドカップや F1のチケットのように、
食料は買うものだと信じている人は確実に増えている。  Y.K

神秘

毎年全世界で出版される無数の科学論文に価値のあることがただ一つある。
宇宙の神秘は科学者になる動機にはなっても、科学者の研究テーマにはならないということだ。  Y.K

ロイヤリティ

アメリカの特許庁の玄関の石には
「特許制度は天才という火に利益という油を注いだ」
というアメリカ大統領リンカーンの言葉が刻まれている。

特許権使用料の概念は弁護士でもあったリンカーンが策定した。アメリカ大統領が武力を発動し、アメリカの「統一」を保つために発明家たちに武器の特許出願を奨励する歴史がはじまった。
21世紀のデザイナーが開発したがるのは、人間が人間を少しでもより巧妙に支配するための技術を開発しようという目的に効果的な人工物ばかりであることは、この歴史が説明する。
この200年間のデザイナーを支配するための単純な技術は、ロイヤリティ(royalty)というご褒美である。
ロイヤリティとは、語源的に王の特権、 採掘権を意味する。
リンカーンは王の特権を個人に分散化した最初の発明家であった。  Y.K