月別アーカイブ: 2015年6月

再考・自己のテクノロジー

シナジェティクスは
自己との対話から始まる。
それは、自己が含まれる
宇宙に相応しい思考にふける行為である。
自分自身と共に生きるときに
シナジェティクスモデルは生まれる。
————自らの理性がどのように原理に働きかけたかを見るために
それは、これまで存在していなかった
構造とパターンを産業的テクノロジーに変換する方法を伴う。

振動する思考

どんなテンセグリティモデルも
圧縮材を統合することについて
そして、張力材による統合について
つまり、自分が行使できる統合方法を具体的に考える
プロセスに生まれる。
そして、テンセグリティ制作者は
この統合が何を意味するかを
知るために考え、
ついに、自分に相応しい思考によって
思考にふける。
テンセグリティが振動によって
自らを安定させるように。

可塑的生存

石油を原料として多様な合成樹脂としての
プラスチックが発明されたのは
第2次世界大戦後だ。
このプラスチックは金属に代わる新たな安価な素材として生まれた。
プラスチック(plastic)とは
可塑性物質の代名詞であるが
本来は、柔軟で感受性の強く
自由に造形できるという意味だった。
この語源のとおり、 3Dプリンター自体のパーツも
可塑性物質に依存しながら
プラスチックに発展している。
そして、われわれの精神すらも
プラスチックに自由に造形できる
見えない3Dプリンターが存在している。
プラスチック(plastic)に生存する群れの精神は
可塑性物質の延長にあるのだ。

張力調整の不確定性

テンセグリティのテンション材の調整は
ノウハウと呼ばれる辛抱強く
しかし、妥協に満ちた経験知によって
置き換えられてきた。
その歴史は
ターンバックルによる張力調整の不確定性にある。
このテンション材の妥協に満ちた調整の歴史において
もっとも滑稽で破綻した行為は
テンション材の不確定性を排除するために
針金に置き換えた図学者がいる程である。
針金の両端は曲げられてアルミパイプの中に挿入された
このモデリングに
張力が不在であるばかりか
学者としての誠実さ(integrity)は
張力を統合するまえに消滅したのである。
この非科学的なトリックは
太陽系から引力による相互作用を否定し
固体的世界観を優位にした瞬間でもある。
テンセグリティを学んでも
固体的概念の牢獄はむしろ強化され続けている。
テンセグリティは形態(Form)ではない。
メタフィジックスのモデル(Model)である。
張力は非物質化への重要な段階である。
———–重力のように

大地が震えていても

外部からのあらゆる瞬間に震えていたら
豊かな内部の感受性は維持できないだろう。
テンセグリティは
絶えず目に見えない振動によって
柔軟な強度を物質化している。
テンセグリティは
生物学でも物理学でも
天文学でも
建築学でもなかった。
まして、金属学ではないが
テンセグリティはもっとも有機的合金に近い。
たとえ、金属と炭素との化学結合を含む化合物から生成されなくとも。

部分と全体 

部分の寄せ集めからは
全体が生まれなかったからこそ
部分にはどんな全体の情報も存在しない。
組み込まれたプログラムによって活動する脳から
生成されないメタフィジックスがある。
たとえば、テンセグリティシステム。
対称的か非対称的かに関わらずそのシステムは
全体からやってきた。
バックミンスター・フラーの最初のジオデシックの特許には
ジオデシック・テンセグリティ構造が含まれている。
彼は未来から過去をデザインしていたので
いまから半世紀前のテクノロジーが
現在にもっとも適応している。

臨床テンセグリティの誕生

テンセグリティは
ポジティヴとネガティブな相互関係を
圧縮材と張力材の非鏡像的で相補的な関係を
物質に変換した瞬間に
無限性を否定する有限性から切り離した。
その時に出現した構造は、
技術的かつ社会的限界を設ける臨界的機能と
起源を発見する機能とを同時に果たす。
不連続な圧縮材からなる球系テンセグリティ構造に
直径の限界は存在しない。
相補性というものに権力構造を超える構造を賦与する
思考の幾何学が誕生したのは
テンセグリティ原理の発見からである。
☆テンセグリティプリセッション 2015-06-04 から引用

より広大な世界

移動できない時代には、
狭い世界から、より大きなことは思考できなかった。
移動できる時代に、
より広い世界から、より大きなことはやはり思考できなかった。
より広い世界は、広大無辺ではなかったからだ。
球体世界は、全領域を囲む境界線は存在しないが有限である。
思考システムは、そのシステムの外から思考することはできない。

発見権

宇宙の法則の発見から特許は生まれる。
その逆は存在しない。
特許権を所有する発明者のほとんどは
すでに発見された宇宙の法則のユーザにすぎない。
そのユーザたちは、諸原理を発明した存在への
著作権を認めているわけではない。
宇宙に人格や法人格が存在しないという前提で
法則の発見者にグランチが
発見権を著作権に含めなかったことこそが
個人の独占をほぼ排除できているのである。